岡村 貴也
高崎酒多 オーナー
高崎駅前の喧騒から一本入った裏通り。無機質なコンクリートの壁と、一本の路地裏というロケーションが絶妙に調和する空間に足を踏み入れると、そこにはどこか東京のストリートを思わせる、洗練された活気が流れています 。元々はちいさな内科医院だったというこの場所を、スケルトンから1年半の歳月をかけて、オーナー自身の「いいな」と思う感覚だけで作り上げました 。
採用はフィーリング。
スタッフの「個性のグルーヴ」を信じる

高崎酒多のスタッフ採用には、一般的な「求人媒体」という文字がないです。常に募集というか、受け入れるマインドでいるだけ。今いるスタッフも、1ヶ月前くらいに東京から帰ってきて『行けますか?』『あ、いいよ』っていうノリでしたから。完璧なマニュアルで縛るのではなく、自分がオーストラリアで感じたような「楽しんで働く環境」を、まずは自社の中に落とし込んでいく 。
一見するとクールに見える空間ですが、店主が語り始めるお店のコンセプトやスタッフの働き方、そして高崎という街への視線には、既存の「居酒屋」という枠組みを軽やかに超えていく、確かな熱量が宿っています 。
高校時代のサッカー部の繋がりや同級生たちが、いまも自然とお店に集まり、店長やスタッフとしてお店を盛り上げています 。オーナー自身が「天井を決めず、良くし続けること」を常に意識しているからこそ、スタッフそれぞれの瑞々しい個性がそのまま店のグルーヴ感になり、訪れる人を惹きつける心地よさを生み出しているのです 。
トレンドを「引き算」
群馬ローカルを少しずつ足していくプロセス
岡村さん
あえて居酒屋としての修行期間を経ていないからこそ、固定観念に縛られることなく、自分が行っていいなと感じたトレンドを、自分たちらしくアレンジして落とし込んでいます 。ベースには少しずつ、群馬の食材や名産品を僕たちらしい形で出していければいいなと思っています。でも、そこはまだ完璧じゃない。今はあえて『やれることを残している』状態なんです。最初から完璧に作り込んじゃうより、余白があったほうが面白いですから。


すべてを一度に完成させない。この「余白」の残し方こそが、次回来たときへの期待感に繋がります。高崎駅前という、出張者をはじめとした「外から来る人」が多い立地だからこそ、観光客向けに魂を売るような真似はしない。地元に住む人々がリアルに通える価格と味を守りながら、ほんの少し「外の視点」と「地元の素材」を混ぜ合わせる絶妙なバランスが、ここにはあります。
程よい「ビジネスの距離感」を持つ高崎で変化し続ける挑戦
前橋と高崎、両方の街で店舗を運営してきたオーナーだからこそ見える、高崎という街の輪郭があります 。
前橋はどっちかっていうとローカルで、みんなが仲良く繋がっている良さがある。逆に高崎は、年齢の近いところで繋がりつつも、挨拶はしながら『ちゃんとお互いビジネスをして切磋琢磨している』という、程よい距離感があるんです。噂がすぐに広まるような、狭くて難しい地域性も「だからこそ、ちゃんとしたものを出し続けなきゃいけない」と、心地よい緊張感として捉えています 。

高崎の路地裏から
始まる彼の挑戦はまだ始まったばかり。
今夜も『高崎酒多』のコンクリートの空間には、自由な空気と、それを楽しむ人々の笑顔が溢れています。
取材を終えて
オーナー様のお話を聞いていて最も印象的だったのは、その圧倒的な「フラットさ」でした。完璧なマニュアルやガチガチのコンセプトで固めるのではなく、あえて「余白」を残し、スタッフの個性や街の空気感を取り込みながら変化していく。もしあなたが、今夜どこか新しい刺激と、それでいて気取らない居心地の良さを求めているなら、一度高崎の路地裏にあるあの扉を開けてみてください 。そこには、高崎の夜を新しく塗り替える、自由な鼓動が静かに響いています。
岡村貴也
高崎酒多オーナー。群馬県太田市出身。25歳で前橋にカフェ『フェデラル』をオープン 。その後ビストロを経て、2026年に高崎に居酒屋『高崎酒多(タカサキサカタ)』を創業。
高崎酒多
群馬県高崎市砂賀町82
居酒屋(おばんざい)
営業時間 17:00~23:00(定休日なし)
IG @takasaki_sakata


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