
戸所 浩子 さん
Todokoro Hiroko ー 宮石青果店 根小屋本店 店長
異業種での経営経験を経て、
コロナ禍に「宮石青果店」の店長に就任。
伝統の「本物の味」を次世代へ繋ぐため、
ブランディングの刷新やDX化を推進。
群馬県高崎市。戦後間もない頃からこの地で暖簾を守り続けてきた「宮石青果店」の作業場には、早朝からキリリと冷えた空気と、清々しい糠(ぬか)の香りが満ちています。
いま、この街の小さな八百屋が、
日本の食文化に一石を投じています。
看板商品の「ひととせしょうが漬」が、日本最高峰の食品評価制度『ジャパン・フード・セレクション』で最高賞のグランプリを受賞。
この快挙の裏側には、コロナ禍という荒波の中で店長に就任し、伝統を「再定義」した一人の女性、戸所さんの情熱的な挑戦がありました。
異業種から飛び込んだ、老舗再生のプロローグ
戸所店長が宮石青果店の門を叩いたのは、世界が静まり返った5年前のコロナ禍。自ら事業を営んできた彼女にとって、野菜の泥に触れる日々は未知の世界でした。しかし、経営者としての直感は、山積みの白菜の中に「光」を見出していました。
「経営に携わってきたからこそ、迷いはありませんでした。ここには、70年かけて築かれた『本物の味』という、何にも代えがたい資産がある。それを守り、届けるのが私の使命だと直感したんです」

素材の「命」を最大化する。八百屋だから辿り着いた究極の引き算
宮石青果店の漬物は、余った野菜の加工品ではありません。野菜を知り尽くしたプロが、その時期に最も力強い個体を選び抜き、その命を「漬物」という形へ昇華させた、いわば食卓の主役です。
世界が認めた「ひととせしょうが漬」の誕生
グランプリを受賞した「ひととせしょうが漬」。本来、新しょうがは秋までの限定品ですが、完売後も鳴り止まないファンの声に応え、通年で楽しめる逸品として開発されました。「素材が持つ本来の辛みと瑞々しさを、どう封じ込めるか」。八百屋のプライドを懸けた挑戦が、日本一の称号を引き寄せたのです。
グランプリを受賞した「ひととせしょうが漬」は、春から秋までの限定品でその年の新しょうが漬け、が完売した後も「食べたい」というお声を多くいただいたことから通年楽しんでいただける商品として「ひととせしょうが漬け」を開発いたしました。

冬、店頭に並ぶ「国府白菜漬」には、創業者や現社長のこだわりが詰まっています。
高崎の国府地区で採れる白菜は、身の厚みが違います。特に冬の時期は甘みが強く、最高なんです。その分、漬け込みには繊細な調整が必要です。気温に合わせて塩加減を変え、2日間、一番美味しい状態になるのをじっと待ちます。


産地を歩き、気候と戦う。近年、猛暑の影響で伝統的な野菜の確保が困難になっているそうです。ただ、伝統を守るために、あえて変化を受け入れる。それが宮石青果店の強さです。
種まきが遅れれば、出荷も後ろにずれる。だから、太田の藪塚大根など、気候に合わせて最適な産地を自ら開拓し、仕入れ先を柔軟に変えています。
「古き良き」と「デザイン・DX」の掛け算
戸所店長が最も注力しているのが、八百屋のイメージを覆すブランディングです。
社内のデザイナーチームと連携し、ポスターやパッケージを刷新しています。
良いものを、良いと伝わる形にする。
老舗の安心感に洗練さが加わることで、若い世代や、これまで接点がなかった県外の方々にも興味を持っていただけるようになりました
デジタルを駆使した「顔の見える」発信を意識しているのと事でした。
スタッフ10数名の少数精鋭でありながら、Instagramや公式LINEをフル活用しています。
群馬の味を、全国へ。そして共に歩むパートナーへ
宮石青果店の挑戦は、店舗の枠を超えています。
現在、関西の飲食店から指名買いが入るほか、地元の焼肉店や居酒屋、さらにはゴルフ場など、プロの現場でもその漬物が採用されています。


『宮石青果店の漬物です』と自信を持って提供してくださる飲食店さんが増えているのが、何より嬉しい。今後は楽天市場などのネットショッピングもさらに強化し、全国に群馬の野菜の美味しさを届けていきたいです
戸所店長は最後に、これからの展望を力強く語ってくれました。

70年の土台があるからこそ、私たちは新しいことに挑戦できる。飲食店さんや地域の事業者さんとコラボレーションし、新しい食文化を作っていく。そんな『三方よし』の輪を、ここ高崎から広げていきたいですね。
所在地 群馬県高崎市根小屋町2187-3
電話番号 027-325-2273
営業時間 9:00~18:00
定休日 水曜定休
Web 公式サイトはこちら
MAP Googleマップで見る
所在地 群馬県高崎市
根小屋町2187-3
電話番号 027-325-2273
営業時間 9:00~18:00
定休日 水曜定休
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取材を終えて
進化し続ける老舗の熱量。
取材中、彼女が語る未来の輝きが重なって見えました。 「伝統」とは、ただ形を守ることではなく、想いを守りながら時代に合わせて姿を変えていくこと。宮石青果店が奏でる新しい八百屋の形は、これからも多くの人々の食卓を、そして地域を熱くさせていくに違いありません。
Re:Local
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